鉄道と旅 1970s
播但線のSL (3) 生野峠 C57三重連/1971年2月10日 [播但線]
 今日は前回に引き続き播但線のC57.生野峠を走るC57三重連撮影の旅を紹介します.

▲和田山方面新井駅から生野駅へ向かう694列車.C57 93.
 SL写真を撮るというのは実は大変な作業です.1971年は,2月10日にC57三重連の列車が走るということで,ファンとしてはどうしてもそれはねらいたいと思うわけです.そして,二日後の2月12日には今度は重連が走ります.この重連は,前回紹介しました.この10日から12日の3日間はとても大変な行程でした.

▲下り貨物691列車.C57 113.生野駅にて.
 まず2月10日.三重連をどこで撮影しようかと迷った末,新井−生野間で撮ることに決めました.始発に乗って姫路へ行き,姫路発7:14の1624列車,もちろんC11が引いていますが,それに乗って寺前へ.しばらく寺前でC11を見ながら休憩.このときの写真が,先日紹介した寺前駅で給水するC11 177です.寺前からは611D列車で生野へ,生野着が9:19.そこで生野を出発する691列車を撮影しました.

 そこからは歩いて,新井の方へ.行く道々ではたくさんの鉄道ファンと出会いました.三重連の人気のすごさが伺えます.ホットポイントは鉄道ファンでいっぱい.下の三重連の写真にあるように,手前の小丘は,黒山の人だかりです.私はあまのじゃくな性格もあって,こういうところでは撮影したくないのですね.で,山の方へ上がっていくのですが,ものすごく深い雪,歩くのも大変で機材にも気を使い,精神的にかなりまいりました.写真でも分かるようにかなり山の高いところまで上がりました.もうへとへとですが,列車がやってくるまで,今度は寒さと空腹に耐える時間が延々と続きます.だって取り逃しはできませんので,ロケハンに使う時間も考えてかなり余裕を持って早く来ているわけです.こうなるともう,撮影をエンジョイするっていう気分ではありません.

▲C57三重連636列車.新井−生野間.はるか向こうの新井の方から生野峠を登ってくるC57三重連.
▲C57三重連636列車.新井−生野間.手前の小丘にたくさんのファンがカメラを構えている.
 そして待つこと約1時間.やっと遠くに汽笛とドラフトの音が聞こえてきました.こうなると元気になるのは当たり前です.遠くからフィルムの残り枚数をカウントしながら連続的に写真を撮っていきます.自分のベストポジションは,カーブを曲がったあとの手前の直線部分.ところが,運命は皮肉なもの.そこへ来たとき煙がカーブの外側に流れ,C57が煙に隠れてしまいました.なんたること.もっとよく考えるべきだったと悔しがることしきり!.結局イベントの記録写真のような,上の写真がベストの位置になってしまいました.

▲自分のイメージとしてのベストショットの位置にさしかかった三重連636列車だが,.....
 こんなふうに,SL写真撮影は体力勝負と結果失敗の連続です.しかしくよくよしていられません.明後日には重連が走ります.この撮影には,夜行で和田山へ行くという,その前の年11月24日の行程と同じルートで臨みました.それは,また次回に紹介します.なお,この日は帰りに姫路に寄って,一番上のC57 93が姫路第一機関区で休んでいる姿をカラー撮影しました.別ページ「姫路駅のSLたち」の写真です.